体外受精の胚移植日の鍼治療と治療成績の関係

代替医療

2008年11月14日

Human Reproduction

体外受精時の胚移植日に本物の鍼治療と偽の鍼治療を実施したところ、偽の鍼治療を受けたほうが妊娠率が高かったことが、香港で実施された二重盲検法による試験で明らかになりました。

香港大学の研究チームは体外受精を受けている370人の女性を185名ずつ2つのグループに分けて、胚移植の日に、一方のグループには本物の鍼治療を、もう一方のグループには偽(プラセボ対照群)の鍼治療を受けてもらい治療成績を比較しました。

その結果、偽の鍼治療を受けたグループの妊娠率は55.1%だったのに対して、本物鍼治療を受けたグループでは43.8%と、偽の鍼治療を受けたグループのほうが治療成績が良好なことが分かりました。

また、受精率や流産率、出産率においても、偽の鍼治療を受けたグループのほうが、良好な結果だったとしています。

コメント

これまで鍼治療を不妊治療に併用することで、治療成績が向上するとの報告もあります。

研究チームでは今回の試験の結果について、偽の鍼治療でも、本物の鍼治療でも、患者のストレス低減効果が確かめられたことから、リラックス効果によって、プラセボ対照群の治療成績が良好だった、或いは、本物の鍼が妊娠の妨げになっている等の可能性について指摘しています。

いずれにしても、体外受精の治療成績を左右する他の要因をまったく同じ条件にすることは不可能なことから、鍼治療の効果を正確に把握することは困難なことと思われます。

ただし、胚移植時にリラックスすることで、治療成績が向上することは参考になるのではないでしょうか。

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