大気中の汚染物質は精子の運動率を低下させる可能性

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2009年03月10日

Fertility and Sterility

PM2.5と呼ばれる大気汚染の原因物質とされる浮遊超微粒状物質は、男性の精子の運動率を低下させる可能性のあることが、アメリカの大学の研究で確かめられました。

ソルトレークシティのユタ大学の研究チームは、5年以上にわたって、大気中の汚染原因物質とされているPM2.5のレベルを毎月測定しました。一方、平均年齢が32.8歳のその地域に住む男性1699人の精子サンプル、また、877の人工授精時の精子を調べたところ、PM2.5が増加すると、2~3ヶ月後に精子の運動率が低下するという相関関係が確認できました。

1立方メートルあたり10mcgのPM2.5が増加すると、2~3ヶ月後に精子の運動率が3.4~2.7%低下したいたとのこと。

このことから、大気中の汚染原因物質は男性の精子の運動率に影響を及ぼす可能性があるとしています。

コメント

PM2.5とは、大気中に浮遊する粒子状の物質で、直径が2.5μm以下の超微粒子。

粒子が小さいことから、気管を通過しやすく、肺胞など気道より奥に付着することから、ぜんそくや気管支炎を引き起こし、人体への影響が大きいとされています。

ディーゼル車の排気ガスなどの含まれているそうです。

健康への有害性が認められることから、欧米では基準濃度が設定されているのに対して、日本では環境省が健康被害を認めた報告書を出しているものの基準は存在しません。

東京都内のPM2.5の濃度(平成18年度)は、1立方メートルあたり20mcg前後で、アメリカの基準濃度よりも高いそうです。

このことから、東京都ではこの有害物質についての実態を解明し、2010年には独自の削減目標を検討する方針とのこと。