体外受精を予定している809名の女性(平均年齢31.2歳)を対象に、日常生活の出来事やそのことで感じるストレスを測定するための試験を実施し、その後の体外受精の治療成績との関連性を分析しました。
その結果、その後の体外受精で妊娠した女性は、妊娠しなかった女性に比べて、QOL(生活の質)を低下させ、ストレスに感じるような日常生活の出来事がより少ないことが分かりました。
また、QOLを低下させ、ストレスに感じるような日常生活の出来事は、体外受精の際の採卵時の卵子の量や質に、マイナスの影響を及ぼすメカニズムが働くのではないかと指摘しています。
コメント
これまでストレスと体外受精の治療成績との関連性については、いくつかの研究報告があります。
どのような方法で試験を実施するかによって、その結果も異なっていますが、今回の報告は、体外受精を受ける1年前の日常生活の出来事から感じるストレスと、体外受精の治療成績との関連性を調べたものです。
強いストレスが心や体の状態にマイナスの影響を及ぼすことは言うまでもないことですが、今回の試験では、ストレスの影響が、卵巣機能に及び、採卵時の卵子の数や質を低下させたことを確かめています。
このことは、不妊治療さえ受ければいいということでは決してなく、日常の環境を整えることが大切なことを教えてくれているように思います。