シドニーIVFの研究チームは、DNA損傷度が標準値(15%)を上回る男性不妊患者118名に、1週間続けて射精してもらい、再度、検査を実施したところ、81%の男性の平均のDNA損傷度が34%から26%に低下しました。
ただし、精液の量は少なくなり、精子数も正常の範囲内ではあるものの、1ミリリットルあたり1億8千万から7千万に下がったとのこと。
研究チームは、引き続き試験を継続して妊娠率の変化を確かめたいとしています。
また、毎日射精することで、DNA損傷度が低下したのは、精子がつくられてから体内に滞留する時間が短くなったことで、活性酸素に曝されるレベルが低下したからではないかとしています。
コメント
葉酸は細胞分裂の際にDNAが正常にコピーされるのに不可欠な栄養素であることから、妊娠前の女性が葉酸のサプリメントを摂取することで、お子これまでは2、3日の禁欲期間を設けることを推奨されていました。
それは、十分な精子の数を得るためでした。
ところが、DNA損傷度という観点から言えば、頻繁に射精したほうがよいというわけです。
試験では、被験者の男性に1週間続けて射精してもらったようですが、試験に携わったドクターは、排卵前には、2日から3日は連続して性交渉をもつようにアドバイスしています。
DNAの損傷度と"妊娠させる力"の関係については、これまで、体外受精や顕微授精を受けているカップルを対象にした試験で、男性パートナーの精子のDNA損傷度が高いカップルほど、流産のリスクが高まるとの報告がなされています。