2004年1月から2006年12月までの3年間にアメリカ生殖医学会に報告され、登録された、マサチューセッツ州で実施された、14265名の女性の体外受精27906周期の治療成績を分析しました。
3年間で受けた体外受精の治療周期は、一人の女性あたり最大で11周期、平均は1.9周期でした。
14265名の女性のうち3年間で出産に至ったのは7675名で53.8%でした。
1回目の治療周期で30.4%の女性が出産に至り、2周期目以降の累積出産率は、2周期で43.3%、3周期で49.1%、そして、4周期で51.9%でした。
5周期以降は53%台でそれほどの上昇はみられませんでした。
また、年齢別の周期あたりの出産率は、
35歳未満では初回の周期では38.3%、4周期目では30.0%、
35~37歳では、初回周期30.1、4周期目21.1%、
38~40歳では初回周期21.1%、4周期目14.2%、
41~42歳では初回周期12.8%、4周期目9.4%、
43歳以上では初回周期5.7%、4周期目5%でした。
コメント
アメリカの治療成績ですから、全体の7.9%は提供された卵子によるもので、特に、高齢の場合の出産率については、日本とは多少事情が異なるところがあることを知っておく必要があります。
この報告では妊娠率ではなく、出産率を出していること、周期あたりだけでなく、累積の出産率を出しているため、体外受精に臨む際の参考になると思います。
4周期の累計妊娠率が51.9%で、5周期以降、53.1%、53.5%、53.7%、53.8%、53.8%と、それ以降は、ほとんど出産に至る女性がいなかったということになります。
つまり、体外受精を4回受けることで、だいたい半数の女性が出産に至ることができ、5回以上受けても、出産まで至る可能性は低くなるということが言えます。
このことから、体外受精を受ける際に、 予め、治療回数を決めておくとすれば、4回、もしくは、5回くらいが現実的であると考えてよいと思います。