アメリカのニューヨークのプレスビリアン病院では、非モザイク型のクラインフェルタ‐症候群による無精子症の男性不妊患者68名に対して、TESE-ICSI(精巣内から精子を採取し、顕微授精を実施する治療法)を実施したところ、68名のうちの66%(45名)の男性患者、91回のうちの68%(62回)のTESE(精巣内精子採取術)で精子の採取に成功しました。
また、精子の採取に成功した男性のパートナーの57%が妊娠、45%が出産に至りました。
男性患者の年齢別の精子採取の成功率は、22~30歳で71%、31~35歳で86%、36~52歳では50%と、年齢が低いほど、精巣からの精子採取率が高いことも判明しました。
この結果から、クラインフェルター症候群による無精子症の男性でも、35歳までに精巣内精子採取術による顕微授精を受ければ、高い確率でお子さんをもうけることが可能であるとしています。
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クラインフェルター症候群とは、性染色体異常の一つで、通常、男性ではX染色体とY染色体を一つずつもっているのに対して、クラインフェルター症候群の男性は、X染色体をもう1本余分にもっていて、XXYという構成になっています。
クラインフェルター症候群の男性の多くは、普通に性行為が可能ですが、精子をつくる機能に障害がおこることから、精子数が極端に少なく、多くは無精子症になることが多いようです。
クラインフェルタ‐症候群の中でも、XXY以外に、正常なXY染色体も存在するモザイク型と、XXY染色体しか存在しない非モザイク型があり、非モザイク型の場合は精液中に精子が存在しない無精子症であることから、お子さんを望まれる場合は、精巣内の精子を探して、採取術を受け、顕微授精を受ける必要があります。
今回の報告では35歳までにTESEによって精子を採取し、顕微授精を受けることで、お子さんを授かる可能性があることを示しています。