イスラエルとイギリスの研究チームは、イスラエルの大学病院で体外受精を受けている女性88名を対象に、不妊や治療で感じるストレスをどのように対処しているのかを調べました。
88名の女性のうち21名(23.9%)が妊娠しましたが、ストレス対処方法と治療成績を分析したところ、自分の力でコントロールできないことと考え、それほど結果にこだわらない女のほうが、自分でなんとかコントロールしようとして、治療のことや結果について、あれこれ思いめぐらし、心配していた女性に比べて、88%妊娠する確率が高いことが分かりました。
このことから、コントロールしきれないものに対しては、なんとか問題を解決しようとするよりも、自分の感情をコントロールしようとするほうが効果的なのかもしれないと結論づけています。
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年齢や喫煙、体重、また、不妊の原因などが、どのように、どの程度、体外受精の治療成績に影響を及ぼすのかについては、これまで多くの試験が実施され、把握されています。
ところが、ストレスなどの精神的なものの影響については、どのように治療成績に影響を及ぼすのかについては、さまざまな報告があり、どちらかと言うと、あいまいです。
今回の報告は、状況をどのようにとらえて、受け入れるのか、ストレスの対処方法と体外受精の妊娠率との関係を調べています。
その結果が、問題に焦点をあてて、なんとかよい解決方法を見出そうとあれこれ、もがくよりも、どうぜ、人間の手でコントロールしきれないものとあきらめ、自分の感情に焦点をあてて、結果に執着しないほうが、かえって、治療成績がよかったことを確かめています。
時間をやりくりして、治療法を負担している中で、他人事のような態度をとることは、決して簡単なことではないとは思いますが、状況をどのようにとらえるのか、また、それをどのように受け入れるのかについては、大変参考にできる研究報告ではないでしょうか。