イスラエルの不妊クリニックの研究チームは、過排卵を伴う人工授精の2318治療周期を対象に喫煙習慣が及ぼす影響について調べました。
内訳は喫煙習慣のある206人の女性の515周期、喫煙習慣のない679人の女性の1803周期でした。
その結果、喫煙習慣のある女性グループは、喫煙習慣のない女性グループに比べて、過排卵刺激のための注射の量が多く、子宮内膜が薄いことが分かりました。
ただし、卵胞の数やE2レベル、妊娠率には大きな差は認められませんでした。
コメント
体外受精や顕微授精の治療成績に及ぼす喫煙習慣の影響については、これまで多くの研究報告がなされていますが、人工授精への影響については調べられていませんでした。
今回の報告では、過排卵刺激のための注射の量や子宮内膜の厚さにおいては、喫煙習慣のマイナスの影響が認められていますが、周期あたりの妊娠率をみると、喫煙グループで16.3%、非喫煙グループで16.3%と、差がありません。
初期流産率も、それぞれ、11.9%、13.6%と同様でした。
ところが、体外受精や顕微授精の治療成績への影響については、喫煙習慣は明らかにマイナスの影響を及ぼしていることが報告されています。
このことは、何を意味するのでしょうか?
喫煙習慣は生殖機能にマイナスの影響を及ぼすことは明らかですが、生殖機能の低下している状況のほうが、より、そのマイナスの影響が大きくなるということなのかもしれません。