体外受精や顕微授精が出生児の知的発育に及ぼす影響

不妊治療のリスク

2009年12月22日

Human Reproduction

体外受精や顕微授精で生れた子どもは3歳時点での知的発育は、自然妊娠で生れた子どもに比べて、劣ることはないと、イギリスで実施された大規模な試験の結果から明らかになりました。

イギリスのオックスフォード大学の研究者らは、2000~2001年にイギリスで生れた約18000名の小児を対象に、徹底した記録をとったコホート研究「ミレニアム研究」のデータを使って、体外受精や顕微授精などの高度生殖医療で生れた子ども(99名)と、比較対象グループ(高度生殖医療で生れた子どもと条件をあわせた198名)、妊娠するまでに1年以上かかった子どものグループ(不妊症の両親から自然妊娠で生れた402名)、妊娠するまでに1年かからなかった子どものグループ(不妊でない両親から自然妊娠で生れた5,556名)、そして、自然妊娠で生れた子ども(10,574名)の3歳時点での知的な発育状況を比較しました。

その結果、体外受精や顕微授精で生まれた子どもは3歳時点では、自然妊娠で生れた子どもに比べて、知的な発育状況は変わりませんでした。

このことから、体外受精や顕微授精は、子どもの知的発育にマイナスの影響を及ぼすことはないとしています。

コメント

体外受精や顕微授精が出生児の知的な発育に及ぼす影響を調査した試験は、これまでもいくつか実施されていますが、今回の試験では、不妊や不妊でない両親から生まれた子どもと、比較することで、他の影響を排除して、より体外受精や顕微授精による影響を正確に把握しようと試みています。

これまでの試験においても今回の報告においても、高度な治療による子どもの知的な発育へのマイナスの影響はみられないとしています。

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