フィンランドの大学病院の研究チームは、1989年から2007年に大学病院で出産した17114の妊娠(自然妊娠)について、子どもを望んでから妊娠するまでにかかった期間の長さと妊娠時の母子の健康状態を調べました。
体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療による妊娠や多胎妊娠、先天性異常は除外していています。
妊娠までにかかった期間は、
6ヶ月以下が73.5%、
7~12ヶ月が12.4%、
13~24ヶ月が5.8%、
25~36ヶ月が2.0%、
37ヶ月以上が2.2%でした。
そして、妊娠するまでの期間が長くなればなるほど、妊娠糖尿病のような合併症や羊膜の感染症、早産などになる割合が増えることがわかりました。
母親の年齢や婚内子か婚外子か、流産歴の有無などの因子を除外したところ、妊娠するまでに2年以上かかった場合、妊娠、出産時の母子の健康リスクが51~64%高かったとのこと。
コメント
自然妊娠の場合、妊娠するいまでに要する期間の長さに影響を及ぼすとされている要因は、母親になる女性の年齢や排卵障害、 そして、肥満度、さらには、喫煙や飲酒などの生活習慣とされています。
一方、それらは、妊娠、出産時の母子の健康リスクを高める要因であるとの報告もあります。
今回のフィンランドで実施された試験の結果は、そのことを裏付けるものでした。
この報告から言えることは、生活習慣を改善することによって、妊娠するのにふさわしい健康状態を目指すことは、結果として、妊娠しやすしいカラダをつくるだけでなく、妊娠や出産時に起こり得る病気は障害などを予防することにもなると言えます。
また、今回の試験の対象となったのは、いずれも自然妊娠いよるもので、体外受精や顕微授精などの高度な治療による妊娠を含んでいません。
このことは、体外受精や顕微授精による妊娠では、妊娠や出産時のリスクが高くなるとされていますが、それは、必ずしも、体外受精や顕微授精によるものであるとは限らないと言えると思います。