胚の凍結、融解によって出産前後のリスクが高まることはない

不妊治療のリスク

2010年02月17日

Human Reproduction

胚の凍結、融解することで、出産前後のリスクが高まらないことが、フィンランドで実施された試験で確かめられました。

胚の凍結、融解することで、出産前後のリスクが高まらないことが、フィンランドで実施された試験で確かめられました。

フィンランドのOulu大学の大学病院の研究チームは、不妊外来のある病院2件と大学病院2件、そして、フィンランドの周産期登録データ(1995~2006年)を使って、凍結胚移植で妊娠した子ども(2293人)と新鮮胚移植で妊娠した子ども(4151人)、そして、自然妊娠した子ども(31946人)の出産前後のリスクを比較し、評価しました。

その結果、母親の年齢や出産歴、社会経済的な地位、多胎妊娠等の影響を排除するための調整後、凍結胚移植による妊娠は新鮮胚移植による妊娠よりも、早産や低出生体重児の割合が少なく、単胎児の平均体重は大きいことが分かりました。

ところが、自然妊娠と比べると、子宮内胎児発育遅延のリスクは低いものの、早産や低出生体重児の割合は大きいことが分かりました。

このことから、胚の凍結や融解によって、出産前後のリスクが高くなることはないと結論づけています。

コメント

胚を凍結したり、融解することで、胚にダメージを与えることから、その後の妊娠、出産に何らかのマイナスの影響が及ぶのではないかとの懸念があります。

ところが、これまでの調査では、胚の凍結、融解によるマイナスの影響は確認されていません。

今回の出産前後のリスクの比較については、過去に実施された試験よりも対象となる症例が最も大きいものです。