いずれかが不妊クリニックに通院するカップルの男性のパートナー749名を対象に、BMI(体格指数)と精液検査の結果や精子の質に関わるさまざまなマーカーとの関係を調べました。
その結果、BMIが大きくなるほど、精子の運動率や高速運動精子が低くなり、また、精巣に分泌されて、精子の成熟や運動能力に関わるマーカーとされる酵素(NAG)の値も低いことがわかりました。
BMIと精子濃度には関連は見られませんでした。
コメント
肥満が生殖能力に及ぼす影響については、男性は、女性ほど、明らかになっているわけではありません。
女性の場合は、排卵障害や着床環境の悪化を招くことから、妊娠する力の低下への影響はダイレクトです。
また、これまでの試験でも、肥満は男性の精液検査の数値には影響を及ぼさないと報告しているものがあったりしますが、男性の肥満度が高くなるほど、妊娠するまでに時間がかかるとの報告もあることから、男性の妊娠させる力に影響を及ぼす要因の一つであると考えてよいと思います。
今回の試験では、肥満が男性不妊を招いたり、妊娠させる力を低下させることを確かめたわけではありません。
BMIが高い男性ほど、運動率が低くなること、また、精子を成熟させ、受精能力や運動能力を獲得する精巣上体で、それらの働きに関わる酵素が肥満男性ほどその値が低いことを確かめています。
これらは、いずれも精子の質に関わることです。
やはり、男性も、お子さんを望まれるならば、肥満は避けるのが無難なようです。