死産のリスクとその原因を調べるために、デンマークで登録された1989~2006年の20166の妊娠を対象に、体外受精や顕微授精による妊娠、一般不妊治療による妊娠、妊娠する迄1年以上要した自然妊娠、そして、妊娠するまでに1年未満だった自然妊娠の死産の数を分析しました。
その結果、体外受精や顕微授精で妊娠した女性の死産のリスクは1000あたり16.2(‰)、一般不妊治療で妊娠した女性では2.3‰、妊娠するまで1年以上要した自然妊娠の女性では5.4‰、そして、妊娠するまで1年未満だった自然妊娠の女性では3.7‰でした。
また、母親の年齢やBMI、学歴、妊娠中の喫煙、飲酒習慣、コーヒー摂取の死産のリスクへ影響は、特には見られませんでした。
このことから、体外受精や顕微授精による妊娠では死産のリスクが高いこと、そして、その原因としては、高度な治療を施したことによるものか、あるいは、妊娠するためには体外受精や顕微授精が必要になるカップルに起因するものと、考えられるとしています。
コメント
まずは、これまでの研究では、体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療を施すことによって、妊娠中や出産前後のリスクの増加については心配するようなものではないこと、出生児への影響についても未知な部分を残しながらも、大きなマイナスの影響が確かめられたわけではありません。
それを踏まえたうえで、体外受精や顕微授精による妊娠では死産のリスクが高まることは知っておく必要があります。
ただ、4倍になると強い印象を感じますが、割合的には、1000に2~5件が、1000に16になるということです。
大切なことは、自然妊娠においても死産のリスクはゼロではないとうこと、また、高度な治療による妊娠においてはリスクが増加するものの、その割合は1000に16だということを理解しておく必要があるということです。
このようなリスクを知ったうえで、治療方針を検討することが大切です。