地中海料理に特有な食生活のパターンは体外受精の妊娠率を高める

生活習慣・食事・サプリメント

2010年03月09日

Fertility and Sterility

地中海料理に特有の食生活をおくっている夫婦は、体外受精や顕微授精の治療成績が良好であることが、オランダで実施された試験で明らかになりました。

オランダのエラスムス大学の大学病院で、体外受精や顕微授精を受けている161組の夫婦を対象に、採卵か精液採取時に、食物摂取頻度調査のアンケートを渡し、過去4週間に食べた食品とその摂取頻度について回答してもらい、胚移植の日に提出してもらいました。

そして、食生活のパターンと、卵胞液中の葉酸やビタミンB12、ビタミンB6、ホモシステイン濃度、受精率や胚のグレード、妊娠率との関係を調べました。
対象者の食生活パターンに、「健康的な食生活」パターンと、「地中海料理」パターンへの傾向の強さを、弱・中・強の3段階に分けました。

「健康的な食生活」パターンとは、野菜や果物、魚、そして、無精製穀物を多く食べ、スナック菓子や肉、マヨネーズを少なく食べるもので、「地中海料理」とは、植物油や野菜、魚、豆類が多く、スナック菓子が少ないパターンです。

その結果、地中海料理の傾向が最も高い食生活パターンの夫婦は、体外受精や顕微授精の妊娠率が40%高かったのに対して、健康的な食生活パターンへの傾向の強さには、妊娠率の高まりは見られませんでした。

コメント

2つの食生活パターンに共通するのは、野菜や魚、豆類を多く食べ、スナック菓子は少ないことです。

試験を実施した研究チームは、治療成績を高めた食生活の要因として、地中海料理に特有な2つのポイントを挙げています。

◎脂肪酸の摂取バランス → ホルモンバランスが整い、着床環境が向上

地中海料理の大きな特徴に、オリーブオイルを豊富に使うこと、そして、野菜や果物、魚、豆類が多く、赤みの肉や加工食品が少ないことがあります。

このような食べ方をすると、必須脂肪酸、オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸の摂取バランスがよくなります。

それぞれの脂肪酸は、体内のさまざまな機能をコントロールする物質に変化し、それぞれは、相反する働きがあります。

その結果、生殖ホルモンのバランスを整えます。

また、炎症が起こりにくくなり、子宮内膜の着床環境が向上します。

◎ホモシステイン濃度が正常化 → 妊娠率が向上、流産率が低下

ホモシステインは、体内でつくられるアミノ酸なのですが、いろいろな悪さを働きます。

ホモシステインの濃度が高いと、妊娠しにくくなり、流産しやすくなることが知られています。

このホモシステインが正常に代謝されるには、葉酸やビタミンB6、ビタミンB12が不足しないことが条件になります。

地中海料理に特徴的な食べ方は、いずれのビタミンもしっかりと摂取できます。

★地中海料理のエッセンスを日常に取り入れる

地中海料理の特徴を以下に挙げます。

・野菜、果物の摂取量が多い。
・全粒粉を使っている。
・脂質はオリーブオイルが中心。
・ナッツ類、ベリー類、豆類、イモ類の摂取量が多い。
・魚、鶏、乳製品を少量から中量、赤身肉の摂取は少ない。
・卵は週4回以下。
・少量から中量のワインを食事と一緒に飲む。

体外受精の妊娠率の向上に寄与したと考えられるのは、脂肪酸やビタミンB群の摂取バランスのよさであると指摘されていますが、大切なのは、全体の傾向でしょう。

つまり、何を食べるかだけでなく、どう食べるかも同じくらい大切だということ。

このような食べ方をした結果、脂肪酸やビタミンの摂取バランスがよくなるわけです。

地中海料理のエッセンスを、私たちの日常の食生活に取り入れることが大切です。