大気汚染と体外受精の治療成績との関係

不妊改善・生殖医療関連

2010年04月09日

Human Reproduction

母親になる女性の住まいや不妊治療クリニックの周辺の大気汚染が、体外受精の治療成績に影響を及ぼしている可能性のあることが、アメリカで実施された試験で明らかになりました。

ペンシルバニア州立大学医学部の研究者らは、初めて体外受精を受ける女性7403名を対象に、住まいや治療を受けているクリニックの地域の二酸化窒素(NO2)やオゾンの汚染状況と、体外受精の治療成績の関連性を調べました。

その結果、1回目の治療周期で36%の女性が出産に至りましたが、治療周期に入る時期の女性の自宅のある地域の大気中の二酸化窒素(NO2)濃度が、平均を0.01ppm上回ると出産に至る確率が20%低下しすること、また、採卵や受精時のクリニックのある地域や胚移植後の自宅のある地域のNO2濃度においても、同様の傾向が確かめられたとのことです。

研究者らは、二酸化窒素濃度が高くなると治療成績が低下するのは、どのようなメカニズムによるものなのか不明とし、二酸化窒素の影響で胚の質が低下するとも言えないし、患者がどくらいの二酸化窒素を浴びていたのかを測定していないとし、二酸化窒素と治療成績の関係についてはさらなる研究が必要としています。

コメント

二酸化窒素(NO2)は、浮遊粒子状物質や二酸化硫黄とともに、代表的な大気汚染物質とされていて、主として化石燃料が燃焼することによって生じ、工場や自動車などから大量に排出されます。

二酸化窒素の環境基準は1時間値の1日平均値が、0.04~0.06ppm内か、それ以下とされています。

今回の研究報告は、大気中の二酸化窒素と体外受精の治療成績の明確な因果関係を確かめたわけでは、決して、ありません。

また、大気汚染の程度によっては妊娠が妨げられるというわけでもありません。

ですから、二酸化窒素の汚染について心配することもなければ、不安に思う必要もありません。

ただし、人間にとって、空気は絶対になくてはならないもので、私たちが生きていくうえでは最も大切なものです。

ですから、きれいな空気を取り入れること、腹式呼吸を習慣化して効率的に取り入れることはとても大切なことだと思います。