スウェーデンの不妊治療病院Fertility Center Scandinaviaで、2006年の1月から2008年の5月の間に、ガラス化法による胚盤胞凍結保存後の融解胚移植で生れた子ども(106名)、緩慢法による初期胚凍結保存後の融解胚移植で生れた子ども(206名)、そして、新鮮な胚盤胞移植で生れた子ども(207名)の生まれる前後の健康状態を比較しました。
その結果、妊娠期間や死産率、先天異常において、大きな差は見られませんでした。
ただし、ガラス化法による胚盤胞凍結保存後の融解胚移植で生れた子どもの平均の出生時体重は、新鮮な胚盤胞移植で生れた子どものそれよりも重いことが分かりました。
コメント
最近では体外受精時に子宮に戻す胚の数は、多胎妊娠を予防する目的から、出来るだけ1個にすることを原則にしているため、治療周期に採卵し、得られた受精卵の残りを凍結保存することがポピュラーになっています。
ただし、一般的な治療法にもかかわらず、受精卵を凍結保存することが新しい生命に何らかの影響を及ぼしはしないかと、心配され、抵抗を感じるケースも少なくないようです。
今回の報告は、現在、主流になったガラス化法が、従来の緩慢法に比べて、高濃度の凍結保護剤に受精卵を浸すために、その毒性がマイナスの影響を及ぼしはしないかと一部で懸念されていることから、ガラス化法と従来の緩慢法による凍結保存後の融解胚移植、そして、新鮮な胚盤胞の移植によって生まれた子どもの出産前後の健康状態を比較したというわけです。
その結果、特に、ガラス化法で凍結保存したからといって、出生児にマイナスの影響を及ぼすことはないことが確認されたということです。