the Murdoch Childrens Reserch Instituteの研究者をリーダーとするチームは、1991年から2000年の間に不妊クリニックに通院を開始し、5年の間に高度生殖補助医療を受けずに、排卵誘発剤や人工授精などの一般不妊治療による2171件の妊娠、出産例(多胎妊娠は除く)と、比較対照グループとして、自然妊娠による4363件の妊娠、出産例の妊娠、出産時のリスクについて比較しました。
その結果、妊娠高血圧腎症の発症率は、
自然妊娠のグループでは、3.2%だったのが、一般不妊治療を受けたグループでは6.5%で、
その他、妊娠期間が37週未満の早産では、それぞれ、5.6%、8.1%、
31週未満の超早産は、0.8%、1.8%、
出生時体重が2500グラム未満の出生時低体重児は、4.4%、6.8%、
そして、帝王切開による出産は、22.8%、35.2%と、
一般不妊治療による妊娠、出産例でリスクが高くなる傾向が見られました。
妊娠、出産時のリスクに影響を及ぼす要因を排除したところ、一般不妊治療によるリスクの上昇に最も強く関連したのは超早産でした。
研究チームは、妊娠、出産時のリスクの上昇が、排卵誘発剤の摂取や人工授精の実施によるものなのか、あるいは、不妊症の原因によるものなのかは定かではないとして、たとえ、高度生殖補助医療でなくても、不妊症の女性の妊娠、出産の際しては特別なケアが必要であるとしています。
コメント
これまで体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療による妊娠、出産時には、リスクが高くなるとの報告がなされていましたが、今回は、そこまでの治療でなくても、妊娠、出産時のリスクが上昇傾向があることが分かりました。
このことは、妊娠するまでに長い期間を要した女性の場合、妊娠や出産時のリスクが上昇するような要因を抱えることが、そうでない女性に比べて、やや多いということでしょう。
このことは、妊娠するためではなく、健全な妊娠、出産のためにも、健康な身体をつくることが大切であるということを教えてくれているのではないでしょうか。