体外受精や顕微授精の出生児は先天性心疾患のリスクが高い

不妊治療のリスク

2010年06月22日

European Journal of Obstetrics and Gynecology and Reproductive Biology

体外受精や顕微授精などの高度生殖医療による出生児は、自然妊娠による出生児に比べて、先天性心疾患を発症するリスクが3倍になることが、カナダで実施された試験で明らかになりました。

オタワ大学の研究チームは、1996年から2005年の間にオタワ生殖医療センターで体外受精や顕微授精で生れた子ども1044名と、自然妊娠で生れた子ども1910名の健康を比較したところ、先天性心疾患にかかる割合が体外受精、顕微授精出生児では1.1%(11名)だったのに対して、自然妊娠出生児では0.4%(7名)と、高度生殖医療で生れた子どもは3倍のリスクであることが分かりました。

また、母親のBMIが30以上では、体外受精、顕微授精出生児では3.6%(5/138)だったのに対して、自然妊娠出生児ではゼロでした。

コメント

先天性心疾患とは、生まれながら持っている心臓や大きな血管の構造の異常のことで、日本では新生児の0.3%にみられるとされています。

今回の報告では、体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療を受けて生まれた子どもでは、その確率が3倍になることが分かったとしています。

3倍といっても、0.4%が1.1%に増加したということで、1.1%そのものは決して高い割合ではありませんが、体外受精や顕微授精を受けることを検討される際には知っておくべきリスクではあります。