スペインの大学の研究チームは、第Ⅰ期の子宮内膜症がどの程度妊娠する力を低下させるのかを調べるために、夫が無精子症で非配偶者間人工授精を受けた、第Ⅰ期の子宮内膜症と診断された女性104名と子宮内膜症のない196名の女性の治療成績を比較しました。
その結果、周期あたりの妊娠率は、子宮内膜症のグループでは8.6%、子宮内膜症がないグループでは13.3%、患者あたりの妊娠率は、子宮内膜症グループでは37.5%、子宮内膜症のないグループでは51.0%でした。
累計妊娠率を比較すると、子宮内膜症グループの6周期の累計妊娠率と子宮内膜症のないグループの3周期のそれが同じレベルでした。
このことから、第Ⅰ期の子宮内膜症は、それほど妊娠する力を低下させることはないと結論づけています。
コメント
子宮内膜症は子宮内膜が子宮以外の場所で成長、発育するためにおこる病気です。
不妊症の原因になることがありますが、特に、軽度の子宮内膜症の場合、どの程度、妊娠を妨げているのか、正確に把握することは困難のようです。
今回の試験の結果は、軽度の子宮内膜症はそれほど妊娠率を下げないことを確かめていますが、第Ⅰ期の子宮内膜症は、最も軽度で、卵巣や子宮に1~2ミリ程度の微小な病変があるレベルで、それほどの自覚症状もなく、腹腔鏡手術か開腹手術によってでしか確認できないとされています。
実際に、超音波検査がMRIで子宮内膜症と診断されるのは、もう少し進行が進んでからと考えられることから、第Ⅰ期の子宮内膜症と診断されるのは現実にはそれほどないかもしれません。
いずれにしても、軽度の子宮内膜症の場合は、年齢にもよりますが、しばらく、様子をご覧になるという選択肢も十分にあり得るのではないでしょうか。