イタリアの大学病院の研究チームは、肥満のPCOS患者でクロミフェンによる排卵誘発効果が得られない96名の女性を、ランダムに3つのグループに分けて、排卵率とアンドロゲン濃度、インスリン抵抗性を比較しました。
グループA(32名)は、6週間の運動と低カロリーダイエットを実施し、
グループB(32名)は、クロミフェン療法を1周期実施した後2週間の経過観察、
グループC(32名)は、6週間の運動と低カロリーダイエット+2週間経過後、1周期のクロミフェン療法を併用しました。
その結果、運動とダイエット、クロミフェンを併用したグループCの排卵率が37.5%と最もよく、運動とダイエットのみのグループAは12.5%、クロミフェンのみのグループBは9.4%でした。
また、運動とダイエットを実施したグループAとCでは、アンドロゲン濃度が低下し、インスリン抵抗性の改善が見られました。
このことから、運動やダイエットは肥満のPCOS患者のクロミフェンの効果を改善すると結論づけています。
コメント
PCOSは、排卵障害や無排卵による不妊の原因としてよくある病気の1つです。
日本では、PCOSの女性の10人に2人に肥満がみられると言われています。肥満は、PCOSの原因なのか、結果なのか、不明ですが、肥満の場合は、まずは、適切なダイエットに取り組むことで排卵しやすくなるとされています。
今回の試験では、アンドロゲン過多やインスリン抵抗性が改善され、クロミフェンの効き目がよくなることが確かめられました。