喫煙が子宮外妊娠のリスクを高めるメカニズム

その他

2010年10月15日

The American Journal of Pathology

喫煙が子宮外妊娠のリスクを高めるのは、体内でニコチンから代謝されできるコチニンが卵管内で、卵管の筋肉の収縮を妨げる「PROKR1」というたんぱく質を増やすためではないかと、イギリスのエジンバラ大学で実施された試験から結論づけています。

喫煙習慣があり、子宮外妊娠の経験のある女性と、喫煙の習慣のない健全な妊娠の経験のある女性の卵管の組織の環境を調べたところ、喫煙習慣があって子宮外妊娠の経験のある女性の卵管に、「PROKR1」が過剰になっていることを確かめました。

PROKR1は、卵管の筋肉の収縮運動を阻害し、胚を運ぶ働きを低下させることから、胚が着床すべき子宮内まで到達できなくなり、子宮外妊娠を招くのではないかとしています。

コメント

子宮外妊娠の原因は完全に明らかになっているわけではありませんが、喫煙は子宮外妊娠のリスクを4倍にすると言われています。

今回の試験で明らかになったように、タバコの煙に含まれるニコチンが体内で代謝されてできるコチニンが、卵管の正常な働きを阻害するたんぱく質を増やすのであれば、タバコを吸うことは、子宮外妊娠だけでなく、卵管の働きが低下することによる不妊をも招く可能性があります。

また、コチニンは自らタバコを吸わなくても受動喫煙によっても体内に生成されると言われています。

タバコの煙に含まれる有害物質は、直接、影響のある肺だけでなく、血液にのって全身に運ばれ、一見、関係がないように見える生殖器官にまで悪影響を及ぼすようです。

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