不妊症が脳性小児マヒのリスクを高めることはない

不妊治療のリスク

2010年11月05日

Human Reproduction

両親が不妊症であることで、子どもが脳性小児マヒにかかりやすくなることはないことが、デンマークで実施された研究で確かめられました。

デンマークの研究チームは、両親の不妊症と子どもの脳性小児マヒのリスクとの関係を調べるために、1997~2003年までのデンマーク全国出生コホートに登録された出生児を対象に、避妊を止めてから妊娠するまでの期間の長短や不妊治療の有無と脳性小児マヒとの関連を分析しました。

その結果、90203名の出生児の内165名(0.18%)が脳性小児マヒであることが分かりました。

そして、妊娠するのにかかった期間が、0~2ヶ月(35,848名)、3~5ヶ月(15,361名)、6~12ヶ月(11,528名)、そして、12ヶ月以上(7,387名)の間の脳性小児マヒの発症率に大きな違いはありませんでした。

このことから、両親の妊娠する力が子どもの脳性小児マヒの発症には関連しないことが分かりました。

ただし、体外受精や顕微授精で生れた子どもが脳性小児マヒにかかる割合は、3000名中176名(0.57%)と全体の割合よりも高いことが分かりました。

このことは、三つ子の脳性小児マヒの割合は2.11%、双子で0.47%と、一子の0.47%よりも高いことから、多胎妊娠が脳性小児マヒのリスクを高めることと関連しているのではないかとしています。

コメント

体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療と脳性小児マヒのリスクとの関係については、過去にスウェーデンで実施された、2,623,517名の子どもを対象にした大規模な調査で、自然妊娠と高度生殖補助医療で生れた子どもの脳性小児マヒにかかる割合は、変わらないことが確かめられています。

体外受精では、多胎妊娠を避けるために、現在、子宮に戻す胚の数を1個にすることによって、多胎妊娠の割合が劇的に減少しています。

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