2002年から2004年の間にオランダの38の施設で、子宮卵管造影検査や腹腔鏡検査を受けた3301名の不妊女性患者を対象に、卵管の通過性とその後の自然妊娠の有無を調査しました。
子宮卵管造影検査を受けた後1年間に自然妊娠する確率は、片側卵管閉塞と診断された患者では19%、、両側卵管閉塞と診断された患者では72%、それぞれ低いことが分かりました。
腹腔鏡検査では、片側卵管閉塞と診断された患者では15%、両側卵管閉塞と診断された患者では76%、それぞれ、自然妊娠の確率が低かったとのこと。
この結果から、子宮卵管造影でも腹腔鏡検査でも、片側卵管閉塞と診断されれば自然妊娠の可能性はやや低くなり、両側卵管閉塞と診断されれば大きく低くなることが分かりました。
いずれの診断結果においても低下率はそれほど変わらないことから、子宮卵管造影検査と腹腔鏡検査の自然妊娠の可能性を予測する力は同じレベルであると結論づけています。
コメント
子宮卵管造影検査で片側卵管閉塞と診断されると、自然妊娠の確率は半分に低下すると考え、両側の卵管が閉塞していると言われると、自然妊娠は無理と諦めるのが一般的な受け止め方ではないでしょうか?
ところが、今回の報告から言えることは、片側卵管閉塞による自然妊娠の確率の低下は約20%程度とそれほど大きくはなく、そして、両側卵管閉塞でも自然妊娠の可能性は決してゼロではないということのようです。
また、自然妊娠の可能性を把握するという目的においては、子宮卵管造影検査も、腹腔鏡検査でも、精度の差はそれほどないようです。
このことは、子宮卵管造影検査でも、腹腔鏡検査においてさえも、卵管の通過性を正確に把握するには限界があるということが言えると思います。
また、女性の年齢が35歳未満であれば、片側、もしくは、両側の卵管が閉塞しているとの検査結果が出たとしても、自然妊娠を目指して人工授精までの不妊治療に時間をかけるという選択肢もあり得ると言えます。