ジョンズホプキンス大学の研究チームは、1999年から2001年のネパールの妊婦を対象に、鉄と葉酸のサプリメントを服用するグループ、鉄と葉酸、亜鉛のサプリメントを服用するグループ、鉄と葉酸、亜鉛の他に11種類の微量栄養素のサプリメントを服用するグループ、そして、対照群を無作為に分け、生まれた子ども676人を2007年~2009年に追跡調査したところ、鉄と葉酸のサプリメントを服用した妊婦の子どもは、摂取していない妊婦の子どもに比べて、知能や運動能力が優れていることが分かりました。
このことから妊娠初期の鉄欠乏は、認知や運動に関係する神経系の発達にマイナスの影響を及ぼすのではないかとしています。
研究チームは、これまでは妊娠中のビタミンやミネラルのサプリメントが出生児の能力にどのような影響を及ぼすのかについて追跡調査を実施しなかったとして、妊娠初期のビタミンやミネラルの胎児の神経系の発育において重要な役割を考えると、妊婦の鉄や葉酸の補充が推奨されるべきであるとしています。
コメント
今回の研究報告は、あくまで、鉄欠乏が蔓延しているとされるネパールの田舎で実施されたものであること、また、研究チームは、そのような地域では妊婦の鉄や葉酸のサプリメントの摂取が推奨されべきであると提言しているということを知っておく必要があります。
ただし、この研究から鉄分や葉酸が胎児の神経系が発達する際に不可欠な役割を果たすことを教えてくれています。
日本でも鉄欠乏症の女性は少なくないことから、加工食品やインスタント食品を食べる機会が多い人は要注意です。
まずは、鉄分の豊富なレバーや肉、魚介類などをしっかりと食べること、野菜や果物を一緒に食べることで吸収率が高まります。
また、サプリメントで摂取する場合には吸収率が悪く、副作用のおこりやすい無機鉄よりも、吸収率が高く、比較的副作用の心配のないヘム鉄がお勧めです。