ART治療で調整卵巣刺激や胚の操作が子の神経学的発育に及ぼす影響

不妊治療のリスク

2011年01月18日

Human Reproduction

体外受精や顕微授精において、ホルモン剤で排卵をコントロールして、排卵誘発を行うことや体外で卵子や精子、胚を操作することは、出生児の2歳時点で神経学的な発育にマイナスの影響を及ぼすことがないことを、オランダで実施された研究で明らかになりました。

◎調整卵巣刺激を伴う体外受精や顕微授精で生れた子ども(66名)
◎弱い排卵誘発、もしくは、自然周期の体外受精で生れた子ども(56名)
◎不妊症と診断されながら自然妊娠で生れた子ども(87名)
◎自然妊娠で生れた子ども(101名)

4つのグループの子ども2歳時点の神経学的な発育度の指標を測定し、比較した結果、それぞれのグループの子どもの間のおける神経学的な発育度において差は見られませんでした。

このことから、調整卵巣刺激や体外での胚の操作が、2歳時点での子どもの神経学的な発育に何ら影響を及ぼすことはないと結論づけています。

コメント

オランダで実施されている疫学調査「The Groningen ARTcohort study」の2歳時点での報告です。

この研究の特徴は、単に、高度生殖医療の影響を、卵巣を刺激して採卵すること、卵子や精子、受精卵を体外で操作することの影響を調べているところです。

子どもの神経系の発達には、少なくとも2歳時点では、いずれの治療による影響も見られなかったとの結果で安心できるものです。