滋賀医科大学医学部産科学婦人科学講座の研究チームは、原因不明不妊と診断されたカップルで、腹腔鏡手術を受けて自然妊娠を目指し、それでも妊娠しない場合に体外受精にステップアップした51組と、すぐに体外受精にステップアップした41組の長期間の累計妊娠率を比較しました。
その結果、腹腔鏡手術を受けた51組のうち、16組は術後すぐに自然妊娠し、23名はその後の体外受精で妊娠に至り、累計妊娠率は76.5%でした。
すぐに体外受精にステップアップした41名のうち、2名は治療に入る前に自然妊娠し、32名は体外受精で妊娠に至り、累計妊娠率は83%でした。
このことから、原因不明不妊と診断され、タイミング指導や人工授精を繰り返しても妊娠に至らない若いカップルで、自然妊娠を希望するのであれば、腹腔鏡手術を受けて自然妊娠を目指すという選択肢があり得ると結論づけています。
コメント
原因不明不妊、すなわち、治療するところがないカップルにとって、タイミング指導や人工授精を繰り返しても妊娠に至らない場合、体外受精にステップアップすることに抵抗を感じることは少なくありません。
もしも、自然に近い方法で妊娠を目指すのであれば、腹腔鏡手術を受けて自然妊娠を目指すという選択肢も十分にあり得るということです。
ただし、その場合でも腹腔鏡手術後に必ず自然妊娠できる保障はなく、結局は体外受精にステップアップしなければならない可能性があること、腹腔鏡手術は全身麻酔が必要であること、コストがかかることを念頭に置くことが大切です。
また、女性の年齢が35歳以下であることが前提です。