単一胚盤胞移植で健康な子の出産を左右する因子

不妊治療のリスク

2011年03月22日

Human Reproduction

肥満女性や喫煙する女性は単一胚盤胞移植後に健康な子を出産する確率が低いことが、フランスで実施された試験で明らかになりました。

フランスの研究グループははじめての体外受精で単一胚盤胞移植を受ける872名の不妊症患者を対象に、多胎妊娠でなく、出生時体重が2500グラム以上で、先天性異常のない健康な子どもの出産に影響を及ぼす因子を調べました。

304の出産のうち、双子が16組で三つ子以上はゼロ、出生時体重が2500グラム以上で、先天性異常のない健康な子どもは全体の30.5%の266名でした。

健康な子の出産に影響を及ぼしたのは、母親の年齢、胚の培養期間、体重、喫煙でした。

母親の年齢が若く、5日目の胚盤胞であること、BMIが30未満で、喫煙しない女性ほど、健康な子を出産する確率が、2.2倍、2.65倍とそれぞれ、高いことがわかりました。

コメント

体外受精や顕微授精などの高度生殖補助医療の最大の副作用である多胎妊娠を避けるために出来るだけ少ない個数の胚を移植することが推奨され、実施されます。

胚の数を少なく(1個に)して、なおかつ、妊娠率の低下を防ぐためには、初期胚よりも胚盤胞を移植することや良好な胚を選別すること、凍結保存技術を活用することがポイントになるとされています。

ところが、妊娠率に加えて、健康な子の出産率という観点で言えば、6日目ではなく、5日目の胚盤胞を移植すること、そして、肥満や喫煙を避けるという、母親の体内環境も大切になってくるようです。