凍結融解胚盤胞移植は子宮外妊娠のリスクを低くする

不妊改善・生殖医療関連

2011年03月23日

Fertility Sterility

凍結融解胚盤胞移植は新鮮な胚盤胞移植に比べて、子宮外妊娠のリスクが顕著に低くなることが、日本産科婦人科学会による2008年生殖補助医療実施成績で明らかになりました。

体外受精や顕微授精で子宮に戻す胚の数が1個の場合の子宮外妊娠の発症率を治療別に比較したところ以下の通りでした。

■単一胚移植後の子宮外妊娠数と子宮外妊娠率


治療法 妊娠数 子宮外妊娠 子宮外妊娠率
新鮮単一初期胚移植(体外受精) 2,302 55 2.4%
新鮮単一胚盤胞移植(体外受精) 1,361 25 1.8%
新鮮単一初期胚移植(顕微授精) 2,207 49 2.2%
新鮮単一胚盤胞移植(顕微授精) 1,352 19 1.4%
凍結融解単一初期胚移植 1,324 24 1.8%
凍結融解単一胚盤胞移植 10,312 84 0.8%
合計 18,858 256 1.4%

新鮮胚を1個移植するよりも、凍結融解胚を1個移植したほうが子宮外妊娠率が低いことがわかりました。特に、凍結融解単一胚盤胞移植が最も低く、0.8%でした。

このことから凍結融解胚盤胞移植は子宮外妊娠のリスクを顕著に下げることが分かりました。

コメント

子宮外妊娠の発症率は自然妊娠で0.3~0.7%、高度生殖補助医療で2.2~4.5%と、されており、体外受精の副作用の一つと考えられてきました。 その理由として、体外受精を受ける不妊原因に卵管閉塞があるからではないかと考えられてきました。 体外受精や顕微授精、凍結融解胚移植等の治療法別では子宮外妊娠の発症率に大きな違いはないとの報告がありましたが、移植する胚の数によって子宮外妊娠のリスクも変わることから、今回の報告では単一胚移植の治療法別の子宮外妊娠のリスクを、2008年の治療データを使って比較しました。 その結果、新鮮胚を移植した時よりも、凍結融解胚移植のほうが子宮外妊娠の発症リスクが明らかに低減することが判明しました。 その理由として、卵巣刺激による着床環境の悪化があるのではないかと推測しています。