精子内から採取した精子を用いた顕微授精で生れた子ども530名と精巣上体内から採取した精子を用いた顕微授精で生れた子ども194名を、射出精液中の精子を用いた顕微授精で生れた子ども2516名と死産率や早産率、低出生体重児率、極低出生体重児率を比較しました。
その結果、新生児の健康や先天的な異常において、精巣内や精巣上体内から採取した精子よる顕微授精で生れた子どもは、射出精液中の精子による顕微授精で生れた子どもと比べて、遜色はありませんでした。
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精液中に精子が全く存在しない無精子症で、精管などを治療することで精液中に精子が出現することが期待できない場合、精巣や精巣上体内から採取した精子を用いた顕微授精で妊娠を目指すことが可能です。
精子をつくる働きが健全な場合には100%精子を採取することが可能ですが、もしも、何らかの理由で精子をつくる働きがそこなわれている場合には、顕微鏡を使って精巣内の精子を探して採取できる確率は半分程度です。
今回の試験では、精巣や精巣上体から採取した精子を用いた顕微授精で生れた子どもの健康状態は通常の顕微授精で生れた子どもとそん色ないことを確かめています。
精巣内の精子を採取して顕微授精を計画しているカップルにとって安心できる結果と言えます。