イギリスの研究グループは、1991年から2008年の間に実施された400,135治療周期の採卵個数とその後の治療成績の関係を調べました。
その結果、採卵個数の中央値は9個、その後得られた胚の中央値は5個、そして、治療周期あたりの出産率は21.3%でした。
採卵個数とその後の出産率には強い関連が相関関係がみられました。
採卵個数が15個までは、採卵個数が多くなるほど出産できる確率も高くなり、15~20個までは出産率は横ばいになり、20個を超えると出産率は低下しました。
また、採卵個数が15個の場合の年齢層別の予測される出産まで至る確率は、18~34歳では40%、35~37歳では36%、38~39歳では27%、そして、40歳以上では16%でした。
これらの結果から、体外受精では女性の年齢に関わらず、卵巣刺激後の採卵で15個の卵が採れることが理想的であることが明らかになりました。
コメント
体外受精や顕微授精の目的は元気なお子さんを妊娠、出産することです。そのためには、どれくらいの数の卵子を採卵するのがよいのか、これまで、採卵数と妊娠率との関係を調べた研究はありましたが、40万を超える治療周期を対象として、採卵個数と出産率との関係を調べた研究は初めてとのことです。
その結果、15個が理想的であるとの結論です。
この研究結果から、体外受精や顕微授精を受けるにあたって、早く妊娠、出産するためには、15個の卵を採卵することを目指すことが大切なポイントになります。
そして、そのために最適な卵巣刺激法を採用するのがドクターの腕の見せ所になるわけです。
現在では、AMH(アンチミューラリアンホルモン)値や前胞状卵胞(アントラルフォリクル)数で採卵個数が予測できますが、その後の治療成績は予測することは困難です。
そこで、今回の研究グループが作成した下記の表で、女性の年齢層別に、採卵個数から出産率を予測することが出来ます。縦軸が女性の年齢です。横軸が予測される出産率です。
治療方針や治療計画をお二人で検討される際の参考になると思います。