東京大学医学部産婦人科の研究チームは、遺伝子操作でオメガ3脂肪酸を豊富に合成するようにしたマウスと普通のマウスに子宮内膜症の病変を移植し、1週間から4週間後の子宮内膜症の病変の状態を比較しました。
その結果、オメガ3脂肪酸を豊富に合成するようにしたマウスは普通のマウスに比べて、子宮内膜症の新たな発生数が少なく、また、病変の縮小、退縮が確認されました。
このことからオメガ3脂肪酸の摂取は子宮内膜症の予防と治療につながる可能性があるとしています。
コメント
これまでにも、オメガ3脂肪酸の摂取が多い女性ほど子宮内膜症にかかりにくく、トランス脂肪酸の摂取が多い女性ほど子宮内膜症にかかりやすいとのアメリカで実施された大規模な疫学調査の結果が報告されたり、今回と同様に、動物を使った実験でオメガ3脂肪酸の子宮内膜症の軽減効果が確認されていました。
いずれもオメガ3脂肪酸の抗炎症作用によるものと考えられています。
脂肪には、体内で合成することができないため、食べ物から摂らなければならない必須脂肪酸があり、その代表的なものが、オメガ3系とオメガ6系の脂肪酸です。
オメガ3系脂肪酸には、α-リノレン酸、EPA、DHAなど、オメガ6系脂肪酸には、リノール酸、アラキドン酸などがあります。
オメガ6系脂肪酸は、一般的な植物油や動物の脂に含まれているので、現代の日本人は過剰摂取気味ですが、オメガ3系脂肪酸は、食の欧米化や、魚の摂取量が減ったことなどから、摂取量は少なくなっています。
脂肪酸は、生理活性物質の原料になり、オメガ3系脂肪酸のα‐リノレン酸を基にして、体内で生成されるEPAからは、炎症、アレルギーを抑制する生理活性物質が生成されます。
アルファリノレン酸は、シソ油(エゴマ油)や亜麻仁油などに豊富で、EPA・DHAは、イワシ、サバ、マグロなどの青魚の魚油に多く含まれていることから、これらの魚を意識的に摂取することが大切です。