妊娠前後の葉酸摂取と子の言語発達遅延の関係

生活習慣・食事・サプリメント

2011年10月13日

JAMA

妊娠前後の母親の葉酸サプリメント摂取が子の3歳時点での重度の言語発達遅延のリスクの低減に関連することがノルウェーの母と子のコホート調査で明らかになりました。

1999年から2008年12月までに妊婦を対象に実施された「ノルウェー母と子のコホート調査」得られたデータを使い、妊娠の4週間前から妊娠8週迄の期間の葉酸サプリメントの摂取と子どもの3歳時点での言語の発達状況の関係を調べました。

言語発達の評価は、「6-point ordinal language grammer scale」という基準を用い、子どもが3歳時点で1個の言葉しかしゃべれないか、意味の不明瞭な言葉しか発っしない場合は重度の言語発達遅延としました。

対象となった8,954人の子どもの中で、重度の言語発達遅延とされたのは204人で全体の0.5%でした。

サプリメントの摂取状況別の重度言語発達遅延の子どもの人数と割合は以下の通りでした。

・どんなサプリメントも摂取しなかった母親の子どもは9,502人、うち重度言語発育遅延は81人(0.9%)。
・葉酸以外のサプリメントを摂取していた母親の子どもは2,480人、うち重度言語発育遅延は22人(0.9%)。
・葉酸のサプリメントを摂取していた母親の子どもは7,127人、うち重度言語発育遅延は28人(0.4%)。
・葉酸を含むサプリメントを摂取していた母親の子どもは19,005人で、うち重度言語発育遅延は73人(0.4%)。

このように葉酸のサプリメント、もしくは、葉酸を含むサプリメントを妊娠前後に摂取していた母親の子どもの3歳時点の重度の言語発達遅延は、葉酸を摂っていなかった母親の子どもの3歳時点の約半分の割合であることが明らかになりました。

このことから、妊娠前後の葉酸のサプリメント摂取は子どもの重度の言語発達遅延のリスク低減に関係しているとしています。

コメント

これまで、葉酸が不足すると神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなることから、妊娠前の女性は葉酸のサプリメントを摂るように推奨されています。

今回の報告は、ノルウェー母と子のコホート調査という大規模な疫学調査の結果に基づくもので、妊娠中の母親の食事や生活習慣が子どもの心身の健康にどのような影響を及ぼすのかを調べるために実施されたノルウェーの国家プロジェクトです。

葉酸の摂取と子どもの重度言語発達遅延の関係を調べたはじめての研究報告です。

葉酸を摂取したかどうかで、子どもの3歳時点の重度の言語発達遅延の確率がおおよそ倍の開きがあります。

言語発達遅滞とは、発達途上の子どもが「予期された時期に、予期された伝達手段を介して、予期された正確さで、情報伝達(コミュニケーション行動)ができない」状態にあることを示す大まかな症状名で、以下のサイトに詳細な説明がなされています。
http://www005.upp.so-net.ne.jp/ma2ma3/gengohattatutitai.html