食事からの抗酸化物質の摂取量と精液の質の関係を調べるために、スペインのムルシア大学の健康な男子学生215名を対象に、食物摂取頻度調査を実施し、精液検査の結果との関連を分析しました。
その結果、クリプトサンチンやビタミンC、リコピン、βカロテンの摂取量が多いほど、運動精子の数が多く、ビタミンCの摂取量が多いほど、精液量が多いことがわかりました。
抗酸化物質の摂取量別に4つのグループに分け、精液検査項目の平均との関係を調べると、βカロテンの摂取量が最も多いグループは最も少ないグループに比べて平均運動精子数が約20%多く、同様に、リコピンでは約40%、ビタミンCでは約37%、クリプトサンチンでは約30%多かったとのことです。
このことから、食事からの抗酸化物質の摂取量は精液の質に関連すると考えられると結論づけています。
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精子の細胞膜は、主にDHAのような酸化されやすい不飽和脂肪酸で出来ており、そもそも、酸化ストレスから細胞を守る抗酸化酵素が十分に備わっていません。そのため、精子は酸化ストレスに弱く、活性酸素によって、細胞質の不法飽和脂肪酸が酸化されてしまうと、細胞の働きが低下し、 精子の運動能力が低下してしまいます。
これまでも、血液中や精液中の抗酸化物質の濃度と精液の質との関係についての試験がいくつか行われていて、抗酸化物質が少ない男性ほど精液の質も低い傾向があることが報告されています。
今回は、対象が不妊患者ではなく、健康な男性大学生であること、食物摂取頻度調査で食事からの抗酸化物質の摂取量との関連が調べられていることです。
運動精子数と関連することが確かめられた抗酸化物質は、いずれも、野菜や果物に含まれます。お子さんを望まれる男性は、日頃から新鮮な野菜や果物をしっかりと食べることをお勧めします。