研究者チームは、18歳から22才歳の男子大学生、188名を対象に、食物摂取頻度調査で食生活のパターンを調べ、マスターベーションで精液を採取し、精液検査を実施し、それらの関係を解析しました。
食物摂取頻度調査の結果から、2つの食生活パターンにわけました。一つは、良識ある賢明な食生活パターンで、魚や鶏肉、果物、アブラナ科野菜、トマト、葉物野菜、豆類、全粒(無精製)穀物を主に食べているパターンで、もう一つは、西洋スタイルパターンで、赤身や加工肉、バター、高脂肪乳製品、精製穀物、ピザ、スナック菓子、高カロリー飲料、マヨネーズ、スイーツをよく食べるパターンです。
そして、ぞれぞれの食生活パターンの傾向の強さで、4段階にグループ分けしました。
特定の食材と精液検査の結果には関連性は見られませんでしたが、適切な食生活スタオルでは精子運動率が高く、その傾向が最も強いグループの男性は、最も弱いグループの男性に比べて前進する精子の割合が11.3%高いことが分かりましたが、西洋スタイルでは精液検査との関連は見られませんでした。
研究チームは、この結果は果物や野菜、魚、鶏肉、全粒穀物を中心とした食生活を実践することは、最もお金のかからない、安全な精子の運動率を改善する方法ではないかと結論づけています。
コメント
健康な男性を対象に食べ物と精液の質の関係を調べたものであって、精子無力症と診断された男性不妊患者を対象したものではありませんし、また、精液の質の改善と妊娠率の向上につながったことを確かめたわけでもありません。
ただし、これまでの研究で、パートナーの男性が、抗酸化サプリメントを摂取した女性の妊娠率、出産率ともに高くなることが確かめられています。
野菜や果物、豆類、全粒穀物を中心とした食生活を心がけることで、抗酸化物質を豊富に摂取することが出来るようになりますので、当然、パートナーの妊娠率の向上も期待できるはずです。
男性不妊と診断され、パートナーの女性が不妊治療を受けている男性、そして、お子さんを望まれるすべての男性は、特に、抗酸化物質を積極的に摂取することを意識して、バランスのよい食生活を心がけることで、より妊娠に近づくことが出来るのではないでしょうか。