ビタミンやミネラルの摂取量と精子DNA損傷率との関係ついて調べるため、国立研究所の職員やOBからリクルートした22~80歳の健康な男性を対象に実施されました。
被験者は精子DNA検査を受け、日々の食事やサプリメントからの微量栄養素(ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、亜鉛、葉酸)の平均摂取量を推定するために100項目に及ぶ食物摂取頻度調査票に答え、各微量栄養素の毎日の推定摂取量で3つのグループに分け、DNAの損傷率度との関係を調べました。
その結果、ビタミンCを多く摂取しているグループの男性は少ない量しか摂取していないグループの男性に比べて、精子DNAの損傷率がほぼ16%低く、ビタミンEや葉酸、亜鉛でも同じ傾向でした。
そして、ビタミンCを多く摂取しているグループの44歳以上の高齢男性は、少ない量しか摂取していないグループの高齢男性に比べて、精子DNAの損傷率がほぼ20%低く、ビタミンEや亜鉛でも同じ傾向だったとのこと。
また、いずれの微量栄養素においても、高摂取グループの高齢男性は低摂取グループの高齢男性よりもDNA損傷率が低く、若い男性のそれと同じレベルであった。
さらに、若い男性では、いずれの微量栄養素においても多く摂取しているグループにおいても、少ない量しか摂取していないグループにおいてもDNA損傷率に大きな差は見られなかった。
これらの結果から、ビタミンミネラルなどの抗酸化物質を十分に摂取することは、年齢による遺伝子損傷に対して、体細胞だけでなく、生殖細胞をも守る可能性があると結論づけています。
コメント
男性の精子DNAは酸化ストレス(活性酸素の攻撃)によって、傷づけられ、損傷率が高くなると、受精しづらくなり、受精しても途中で受精卵の成育が止まったり、妊娠しても流産しやすくなったりしてしまいます。
DNAの損傷率が低いと、精子濃度や精子運動率も低くなることが多くなりますが、精液検査で問題がなくても、DNA損傷率が高いというケースもあります。
そのためお子さんを望まれる男性は酸化ストレスが高くならないような(抗酸化力を高めるような)生活を心がけることが大切です。
体内の抗酸化作用は、私たちに備わっている抗酸化酵素が主に担っています。
ところが、体内の抗酸化酵素は年齢とともに少なくなり、抗酸化作用も低下してしまいます。
細胞が老化する主因とされています。
そのため、年齢が高くなるほど、ビタミンやミネラルなどの抗酸化物質をしっかりと体外から補うことが大切になってきます。
今回の研究結果は、男性の年齢が高くなるに従って、抗酸化力も低下することから、ビタミンやミネラルの摂取量が精子DNAの損傷率に影響することを示しているのでしょう。
男性も40歳を超えると、野菜や果物をしっかり食べて、抗酸化サプリメントを摂ることが大切になってくるというわけです。