イギリスのキングスカレッジ病院の研究チームは、1999年から2010年の12年間、子宮外妊娠のために片側の卵管を切除した後、自然妊娠した707名の女性の842の妊娠例を対象に、排卵後に黄体(排卵後の卵胞)が確認された卵巣と切除した卵管の関係を調べることで、どのくらいの確率で、切除した卵管側の卵巣から排卵された卵子が反対側の卵管に取り込まれて自然妊娠したのか調べました。
その結果、842例の妊娠の内、266例が反対側の卵管取り込まれて妊娠したことがわかりました。
このことから、子宮外妊娠によって片側の卵管を切除した後でも、約30%は反対側の卵管から取り込まれて自然妊娠していることが確かめられました。
コメント
子宮外妊娠で片側の卵管を切除した後、卵管のない卵巣で卵胞が成熟し、排卵が起こった場合は、その周期は妊娠が望めないと受け止められているのではないでしょうか。
そのため、左右いずれの卵巣から排卵が起こるのかは規則性はないとされていますが、片側の卵管を切除した後は、自然妊娠の確率は半分になってしまうように思いがちです。
確かに、卵管のない卵巣から排卵された卵子が反対側の卵管から取り込まれ、自然妊娠できることが、「まれに」あるとは言われていましたが、その確率はとても低いものという印象でしたので、今回のイギリスの研究で、自然妊娠の30%が反対側の卵管から取り込まれていたことが判明したというのですから、想像以上に高い確率ではないでしょうか?
たとえ、片側の卵管を切除した後でも、卵管のない側の卵巣から排卵でも妊娠が期待できるということは知っておくべきですね。
よくある平面のイラストでは左右の生殖器官が対称的に描かれていることが多く、見た目には反対側の卵管から取り込まれるのは想像しづらいものですが、実際には卵巣は子宮の裏側に位置し、多少動いたりもしますので、思ったよりは起こり得るということなのでしょう。