イギリスのサウザンプトン大学の研究者らは疫学調査「サウザンプトンウィメンズサーベイ」に参加している妊婦を対象に妊娠34週時点の血中のビタミンD(25(OH)D)濃度を測定し、出生児の4歳時点の握力などの筋力などとの関係を解析しました。
その結果、妊娠中のビタミンD濃度が高いほど出生児の4歳時点の筋力が強いことがわかりました。ただし、筋肉量とは関連しませんでした。
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ビタミンDは骨の形成や成長を促す脂溶性のビタミンとして知られてきましが、近年、細胞の増殖や分裂を調整する作用があることから、その多彩な働きが注目されている栄養素です。
そして、妊娠や出産においても重要な役割を担っていることがわかってきており、妊娠中の血中ビタミンD濃度が低いと妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群、小さい子どもが生まれるリスクが高くなることが明らかにされています。
今回の試験結果もそれを確かめるものになっています。
ビタミンというものの、皮膚で紫外線によって体内で生成され、細胞の核内の受容体に結びついて遺伝性発現によって作用することからホルモンであるとも言われていることから、日照時間が短い冬は不足しやすいとされています。
アンコウ肝や紅ザケ、さんま、にしん、うなぎなどに多く含まれますが、サプリメントで補充するほうが現実的かもしれません。因みにイギリス保健省は妊娠中や授乳中の女性に1日に10μg(400IU)のビタミンDのサプリメントを摂取することを推奨しています。