スタンフォード大学病院に通院するBMI(肥満度)が25以上(過体重や肥満)の52名の女性の不妊症患者は、「意味があると考えられる」10%の減量を目標に、食事の摂取カロリーを減らし、1日30分を上限に週5日の運動するという生活習慣改善のためのカウンセリングを受け、その後、1年半に渡って、毎週、電話やメールのフォロー、毎月、面談を受けました。
その結果、32%の17名の女性は10%以上のダイエット目標を達成し、88%が妊娠、71%が出産に至りました。それに対して、10%未満の減量に終わった35名の女性では54%が妊娠、37%しか出産に至りませんでした。
過体重や肥満の不妊症女性にとって、10%の減量は出産率が改善されることが示されました。
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BMIとは肥満度をあらわす体格指数のことで、体重(kg)を身長(m)の二乗で割ることで算出します。日本肥満学会の基準は以下の通りです。
低体重(痩せ型) 18.5未満
普通体重 18.5以上、25未満
肥満(1度) 25以上、30未満
肥満(2度) 30以上、35未満
肥満(3度) 35以上、40未満
肥満(4度) 40以上
世界保健機構やアメリカm英国では、25以上を「過体重 (overweight)」、30以上を「肥満 (obese)」としており、今回の試験で対象としたのは25以上で、過体重(overweight)女性からになります。
日本では、最近が肥満よりも、やせのほうが深刻であると専門家の間では言われるようになって久しいのですが、25以上と言えば、肥満1度にあたり、決して、少なくありません。
さて、やせ過ぎても、太り過ぎても妊娠しづらくなるとされていますが、過体重の場合、どれくらい減量すればいいのか、明確な目安は示されていなかったことからスタンフォード大学の研究チームは今回の試験を実施したとのことです。
そして、不妊症を克服するのに「意味のある減量」を体重の10%と想定し、試験を実施したところ目標を達成した女性は達成できなかった女性に比べて、妊娠率も出産率も高かったことから、まずは、10%のダイエットを目指すべきと結論づけています。
過体重は妊娠しづらくなるだけでなく、妊娠合併症や出産時の母子のリスクや帝王切開になる確率が高くなると言われています。
BMIが標準以上の場合、まずは、体重の10%のダイエットを目指すとよいということですね。