オランダのアムステルダム大学の研究チームは、不育症(2回以上流産を繰り返す)女性にアスピリン単剤やヘパリン併用療法の有効性を調べた試験(ALIFEスタディー)に参加した女性251名を対象に、不育症と診断されてからの妊娠や出産の状況を追跡調査しました。
その結果、半年後には56%、12ヶ月後には74%、そして、24ヶ月後には86%が妊娠しました。また、調査期間中に妊娠した女性の65%の139名が出産に至り、累計出産率は半年後はゼロ、12ヶ月後は23%、そして、24ヶ月後は50%でした。
また、妊娠までの要した期間の中央値は21週、その内、3回以上流産を繰り返した習慣性流産の女性のそれは23週でした。そして、出産までのそれは102週で、3回以上繰り返した女性では113週でした。
このことから不育症女性が妊娠までに要する期間は一般女性のそれとはそれほど変わらないこと、また、原因不明の不育症でも65%は出産に至り、出産に要する期間は2年半くらいであることがわかりました。
コメント
流産とは、妊娠21週までに妊娠が終わってしまうことを言います。すべての妊娠の約15%の頻度でおこっていて、そのほとんどは、妊娠11週までの妊娠初期におこっています。また、妊娠したことのある女性の40%が流産を経験しているとの調査報告もあります。そして、2回以上の流産、死産、あるいは、早期新生児死亡(生後1週間以内の赤ちゃんの死亡)がある場合を不育症とされています。
不育症と診断され、検査を受けても原因がみつからない原因不明の不育症も少なくありません。つまり、特定の原因があって流産を繰り返すというわけではなく、偶然、胎児側の染色体異常が続いてしまう、すなわち、「たまたま」流産になってしまうというケースです。
当然、治療の必要はないわけですから、ただ、次の妊娠を目指すだけなのですが、それまで流産を繰り返したことで、不安や心配が伴うはずです。
また、妊娠出来るのだろうかという不安や心配に加えて、もしも、妊娠出来ても、また、流産してしまうのではないかという不安や心配とも戦わなければなりません。
そんな場合、今回のような研究結果を知ること、理解しておくことは一つの目安になるはずです。
たとえ、不育症と診断されても、その後の妊娠の可能性は低くなることはないようですし、高い確率で出産に至っているようです。