自然妊娠を希望して3ヶ月未満の30〜44歳の女性564名の1332周期の性交の時期や回数と妊娠の確率との関係を調べました。被験者の女性は月経や性交、排卵検査薬、もしくは、頸管粘液のチェックによる排卵日、そして、妊娠検査薬の結果を4ヶ月間、もしくは、妊娠が判明するまで記録してもらいました。月経初日は2日以上出血が続いた場合とし、排卵日は次の月経初日、もしくは、妊娠検査薬陽性反応が出た日から14日前としました。
その結果、排卵後5日目から9日目の着床時期周辺の性交は自然妊娠率の低下に関連し、その時期に全く性交しなかった場合に比べ、1回性交した場合は妊娠率が98%、2回性交した場合は76%、3回性交した場合は52%に低下しました。
このことから着床前後の時期の性交は自然妊娠率を低下させるおそれがあり、もしも、自然妊娠を目指して性交のタイミングをはかる場合は排卵5日前から排卵日までの妊娠の可能性のある時期に限定し、排卵後5日目から9日目の着床時期周辺の性交は避けるのがよいかもしれないとしています。
コメント
このサイトで最もアクセスの多いのは「妊娠の可能性を最大にする性生活」、そして、「妊娠しやすい夫婦生活とは?~タイミング法にまつわる誤解を正す」のページです。そもそも、この妊娠しやすいカラダづくりは、そのタイトルの通り、妊娠するために「自分たちが取り組めること」についてまとめたサイトですから、当然と言えば当然なのかもしれませんが、いわゆる、「正しいタイミングの取り方」についての関心はとても高いことがわかります。
ただし、妊娠の可能性のあるタイミングについてはよく知られていますが、それでは、妊娠しにくくさせるタイミングについての情報はほとんどありませんでした。
一方、排卵5日前から排卵日までの妊娠の可能性のあるタイミングとは「卵子と精子が出会いやすいタイミング」のことですが、排卵後の性交は射精された精液に含まれる物質が子宮の収縮を起こさせることで、妊娠にはマイナスに働くのではないか言われたり、射精された精液が女性の生殖器官の免疫反応を精子を受け入れやすい状態にするため妊娠にプラスに働くのではないかと言われたりしていました。
これまでの研究では排卵後、或は、体外受精の胚移植後の性交は精子を受け入れやすくするとの報告があります。
そして、今回は排卵後5日から9日目の着床周辺時期の性交の影響を調べたところ、その時期の性交は妊娠率を低下させるというものでした。
要するに、排卵直後の性交は妊娠にプラスに働く可能性があるけれども、着床時期が近づくと妊娠にマイナスになる可能性があるということになります。
そもそも、排卵や着床時期を正確に把握することは困難なので、明確に結論づけるのは無理があると思いますが、着床時期と思われる時期には性交を控えたほうがいいかもしれません。