スタンフォード大学と国立子どもの健康とヒト発達研究所(NICHD)の研究者らは、2005年から2009年にかけて実施されたLIFE(the Longitudinal Investigation of Fertility and the Environment)研究に参加した不妊症でない妊娠を望むカップル501組の男性を対象に、仕事の労働環境やこれまでにかかった病気、服薬と精液検査の結果の関係を調べました。
労働環境は、夜勤やシフト勤務、振動、騒音、高温、力仕事、長時間座っていることの有無、これまでにかかったことのある病気、そして、飲んでいる薬について、インタビューし、精液検査の結果との関連を分析しました。
その結果、力仕事に従事する男性の乏精子症の割合は力仕事に従事しない男性の2倍以上(13% vs 6%)あることがわかりました。また、高血圧と診断されたことにある男性の乏精子症の割合は血圧が正常な男性の3倍弱(18% vs 7%)、形態が正常な精子の割合が4%未満の割合は3倍以上(11% vs 3%)だったことがわかりました。さらに、 薬を服用している男性は服用していない男性に比べて総精子数が少ない傾向が見られました。
以上のデータから力仕事に従事することや高血圧、飲んでいる薬の数と精子の質の低下に関連することが示唆されました。このことは、男性の精子の質の維持や改善のための参考になり得ると結論づけています。
コメント
精液検査の結果は、その時々の健康状態だけでなく、仕事や過去にかかった病気、飲んでいる薬にも影響されるようです。
精液所見が基準に満たない場合の多くは原因不明とされていますが、それは、なんらかの原因が隠れていたり、遺伝的な要因も考えられますが、さまざまな要因が複合、かつ、複雑に影響を及ぼしていることも考えられます。
精液検査の結果、多少、基準が下回ったというレベルであれば、日常の環境を見直してみることで改善されるかもしれません。