ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは、EARTH研究(マサチューセッツ総合病院で高度生殖補助医療を受けているカップルを対象に治療成績に影響する要因について調べる前向きコホート研究で2006年にスタートして現在も進行中)に参加しているカップルの男性パートナー184名(18〜51歳)の直近の3ヶ月間の大豆食品の摂取量と324治療周期の治療成績との関係を調べました。
その結果、男性の大豆食品の摂取量で4つのグループにわけたところ、それぞれのグループの出産率は36%、42%、36%、37%と、変わらず、その他、受精率や胚の質、着床率、妊娠率においても関連しませんでした。
このことから、男性パートナーの大豆食品摂取量は体外受精の治療成績に影響しないことがわかりました。
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これまで、大豆食品をよく食べる男性は精子の数が少ないという研究報告がいくつもあることから、ハーバード大学は関連病院で体外受精や顕微授精を受けているカップルを対象に、男性パートナーの大豆摂取量が治療成績に影響を及ぼすのかを調べたというわけです。
大豆食品が精子数減少に関連するのは、大豆食品に含まれる植物性エストロゲンの影響ではないかと考えられています。女性ホルモンの様な働きをする物質を過剰に摂取すると男性の精子をつくる働きが低くなってしまうのではないかということです。
そのような研究報告をもとにお子さんを望む男性は大豆食品を控えるようにアドバイスする記事をネットでみかけます。
研究結果は「影響しなかった」というものでした。
そもそも、日本人は味噌や豆腐、納豆などの大豆加工食品を昔からたくさん食べています。もしも、大豆食品が男性の妊娠させる力を弱めるのであれば、いったい、日本人はどうなのかと思ってしまいます。
もちろん、植物性エストロゲンを過剰に摂ると、女性も、男性も、マイナスの影響がありますが、あえて、大豆食品を控える必要はないということでしょう。