食事パターンと精子の質との関係

男性の妊娠させる力に影響を及ぼすもの

2015年08月31日

PLOS ONE

食事パターンは男性の精液検査の結果と関連し、西洋式食事は精子濃度や正常精子形態率の低下、スイーツやスナック菓子、砂糖入り清涼飲料水は精子濃度の低下、そして、高炭水化物食は精子運動率の低下と、ぞれぞれ関連することが台湾の研究で明らかになりました。

輔仁大学の研究者らは、18〜75歳の台湾人男性7282名を対象に食事パターンと精子の質との関係を調べました。

食事パターンは「台湾式食事摂取頻度調査」を実施し、次の5つの食事パターン度で4段階のグループに分けました。「健康的食事」、「西洋式食事」、「高炭水化物食」、「高スイーツ、スナック、清涼飲料水」、「高ナトリウム(食塩)食」で、それぞれの定義(食材の摂取頻度と摂取量)は以下の通りです。

・健康的食事:色の濃い野菜と色の薄い野菜、果物の総量
・西洋式食事:ミルク、チーズ、ヨーグルト、肉、魚、サラダ、揚げ物
・高炭水化物食:穀物(精製、無精製)、根菜
・高スイーツ、スナック、清涼飲料水:ケーキ、クッキー、砂糖入り清涼飲料水
・高ナトリウム食:加工缶詰、インスタントラーメン、薬味・調味料

精子の質は3日間の禁欲期間後に精液検査を実施し、精子濃度、精子運動率、前進精子運動率、正常精子形態率を指標としました。

その結果、西洋式食事度が高いほど精子濃度や正常精子形態率が低下、スイーツやスナック菓子、砂糖入り清涼飲料水を摂取が多いほど精子濃度が低下、そして、高炭水化物食度が高いほど精子運動率の低下傾向がみられました。

特に、炭水化物の摂取量が最も多いグループの男性は最も低い男性に比べて精子運動率が低く、精子無力症(40%未満)のリスクが1.6倍、また、前進精子運動率が32%未満のリスクが1.3倍でした。さらに、スイーツやスナック菓子、砂糖入り清涼飲料水の摂取量や頻度が最も多いグループの男性は最も低い男性に比べて精子濃度が低く、乏精子症(1500万/ml未満)のリスクが1.4倍でした。

このことから、食事パターンは精子の質に関連し、特に、炭水化物やスイーツ、スナック菓子、砂糖入り清涼飲料水の摂り過ぎは精子の質の低下と関連することがわかりました。

コメント

これまでの食生活のパターンと精子の質との関係については、いくつかの研究が行われています。ところが、それらはいずれもアメリカやヨーロッパで実施されたものでした。当然、食生活のパターンはそれぞれの地域や人種の食習慣や体質、体格などの影響を強く受けますから、日本人にそのままあてはめることが難しいところがありました。食生活と女性の生殖機能との関連研究もしかり、です。

そんな中で、今回は同じアジア人である台湾の男性を対象にした研究で、それも7282名という大規模なものです。もちろん、同じアジア人と言えども、台湾と日本では食習慣や食文化は異なりますが、欧米人を対象とした報告よりは参考にできるところが大きいのではと思います。

結果で注目すべきは、炭水化物や甘いもの、清涼飲料水の摂り過ぎは精子の数や運度率を低下させるというものです。

これまでの研究結果と一致しますが、アジア人は高血糖を招くような食べ方は精子を悪くするようです。

いずれにしても、精子にとっても「健康的に食べること」は大切なことのようです。