トルコのエルズィンジャン大学の研究者らは、EDの患者120名(軽度40名・中度40名・重度40名)と健康な男性40名の空腹時の血液中の葉酸濃度を測定し、EDやEDの症状との関係を調べました。
その結果、平均の葉酸濃度(単位:ng/ml)は以下の通りでした。
ED(重度):7.2±3.7
ED(中度):7.1±3.2
ED(軽度):10.2±4.6
非EDの男性:10.7±4.6
EDの男性は非EDの健康な男性に比べて血中の葉酸レベルが低いこと、そして、症状が進行するほど葉酸レベルも低くなることがわかりました。
コメント
葉酸は水溶性のビタミンB群の一種で、DNAの合成に関わることから赤ちゃんの健康な成育に不可欠な役割を担うことから、妊娠前、妊娠中の女性にとって大切な栄養素であることが知られていますが、たんぱく質(メチオニン)の代謝にも関与しています。
「必須アミノ酸」の1つであるメチオニンは、「メチオニン→ホモシステイン→メチオニン」というサイクルで代謝されていますが、メチオニンがホモシステインに変換される際にはビタミンB6が、そして、ホモシステインからメチオニンに変換される際には葉酸が、それぞれ、補酵素(酵素を助ける)として必要になります。
ところが、葉酸が不足すると、ホモシステインの代謝が正常に進まず、血液中にホモシステインがたまっていき、ホモシステイン高値の状態になります。
このホモシステインが高いレベルが続くと、間接的にEDになりやすくなります。
そのメカニズムは以下の通りです。ホモシステインは過剰なLDLコレステロールと結合し、活性酸素により酸化されやすくなり、酸化したLDLはマクロファージに食べられて血管壁に付着することで動脈硬化を進めます。さらに、動脈硬化が血行不良を起こし、それによって陰茎に血液を集める海綿体が充血しにくくなり、EDの発症リスクが高くなるのです。
このように、葉酸不足が、直接、EDを引き起こすわけではなく、アミノ酸の代謝異常からホモシステインという悪玉のアミノ酸を増やし、動脈を硬くし、血行不良がEDのリスクを高めるという連鎖的なメカニズム、すなわち、間接的にEDのリスクを高めると考えられるのです。
今回のトルコの研究者らは、そのように推測し、研究を実施したようです。
EDの男性は生活習慣病に注意しなければならない理由です。