ハーバード公衆衛生大学院の研究チームは1991-2009年に女性看護師を対象に生活習慣とさまざまな疾患の関連を調査した大規模前向きコホート研究「the Nurese' Health Study Ⅱ」のデータから妊娠前のカフェインやカフェイン入り飲料の摂取量と妊娠後の流産リスクとの関連を解析しました。
11,072名の女性看護師の15,590の妊娠例があり、妊娠前のカフェイン摂取量と流産リスクにはポジティブな相関関係があり、1日に400mgのカフェインを摂取していた女性は50mg未満だった女性の比べて、流産のリスクが1.11倍だったことがわかりました。
また、コーヒーも同様で、妊娠前に1日に4杯以上コーヒーを飲んでいた女性は全く飲まなかった女性に比べて流産のリスクが20%高いこともわかりました。
ただし、妊娠前のカフェイン抜きのコーヒーやソーダの摂取量と流産リスクには関連は見られませんでした。
このことから、妊娠前の1日4杯以上のコーヒーは流産、特に、8-19週の流産のリスク上昇に関連することがわかりました。
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アメリカ生殖医学会は、不妊治療のドクター向けに、患者さんに生活習慣についてのアドバイスをするためいまとめた「Optimizing natural fertility」を委員会見解として公開しています。それによると、「過度のカフェイン摂取(一日5杯のコーヒーまたはそれに準じるもの)は妊娠を妨げ、妊娠中は一日200-300mg(一日2、3杯のコーヒー)のカフェイン摂取は流産のリスクを高めるものの、先天異常のリスクとは無関係である。」とあります。
また、アメリカ国立小児健康・人間発達研究所(NICHD)の研究、LIFE研究では、妊娠前の女性とそのパートナーの1日に2杯以上のカフェイン飲料は流産リスクの上昇に関連すると報告されています。
今回は、「the Nurse's Health Study Ⅱ(看護師健康調査)」のデータから妊娠前のカフェインやコーヒーの摂取量と流産リスクの関連を調べ、1日に400mg以上、コーヒーで4杯以上飲むと流産のリスクが有意に上昇したとのこと。
このように妊娠してからではなく、妊娠前から過剰なカフェイン摂取には気をつけたほうがよさそうです。
因みに、飲み物別のカフェイン含有量は以下の通り(全日本コーヒー協会)です。
・レギュラーコーヒー浸出液 約 60mg
・インスタントコーヒー 約 60mg
・玉露 約 160mg
・煎茶 約 20mg
・紅茶 約 30mg
・ウーロン茶 約 20mg
・コーラ飲料 10~13mg
コーヒーだけでなく、緑茶や紅茶、コーラなどにも含まれます。