ポーランド・ヴロツワフ大学の研究グループは18-35歳の健康な男性を対象に身体活動と精子の質の関連を調査すべく横断研究を実施しました。
被験者の男性に過去1週間の日常生活でどのように身体活動を行っているかを調べる「国際標準化身体活動質問票IPAQ(international physical activity questionnaire)」に回答してもらい、そこから得られた運動時間および日数から総身体活動量(総MET-minutes/週)を算出しました。そして、総身体活動量で4つのグループに分け、精液試験結果との関連を解析しました。
その結果、不動精子率のみが有意に関連しました。4つのグループの不動精子率は身体活動量が低いグループから順に、38.5%、39%、53.5%、51.1%で、最も高かったグループとその次に高かったグループの不動精子率は最も低かったグループとその次の低かったグループに比べて有意に高いことがわかりました。
また、不動精子率以外では関連はみられませんでした。
コメント
これまで身体活動(運動習慣)と精子の質との関係については多くの研究が行われています。ただし、それらの結果は相反するもので運動と精子の質の関係については確定的な結論は得られていません。それは、どのような男性を対象とするか、身体活動をどのような方法で測定するかが異なること、また、精液所見そのものが、同じ男性でも検査の度に変動するからでがないかと考えられているようです。
今回の研究では身体活動が高い男性は不動精子率が高かったという結果で、それ以外の精液所見とは関連しなかったというものでした。
筆者は、身体活動と不動精子率の関連についての原因は不明としています。そして、全体に関連しなかったのは、被験者の男性は年齢の中央値が24歳で、BMIは23.8、喫煙率は14%、そして、運動しないのは4%と、とても健康な男性であることが関係しているのではないかと述べています。
いずれにしても、今回の結果がすべての男性に当てはめることはできないとしています。