ボストン大学の研究グループは、1,654の体外受精の治療周期を、夏時間(DST)への移行の日やDSTの終了の日が治療開始から胚移植前迄に起こったグループ、胚移植から21日迄の間に起こったグループ、そして、治療周期1日目から10週間後に起こったグループ(対照群)の3つのグループにわけ、妊娠率や流産率を比較しました。
その結果、胚移植後の21日間に夏時間に移行したグループ、すなわち、胚移植後から21日以内に1時間、時計が進んだグループの流産率が有意に高く、全体の流産率が15.5%に対して24.2%でした。
また、それは過去に流産の経験がある女性で特に強くあらわれました(60.5%)。
それ以外はグループ間で違いはなかったとのこと。
このことから、体外受精で胚移植後に夏時間への移行日があることと流産リスクの上昇と関連することがわかりました。
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アメリカでは一部の州を除いて、夏に標準時を1時間進めます。夏時間(DST)は3月第2日曜日~11月第1日曜日に適用されます。そのため、毎年、3月の第2日曜日の深夜2時に、時計の針を1時間進めて、3時になり、11月の第1日曜日の深夜2時に、今度は1時間遅らせて、1時になります。
今回の研究は、DSTのスタート時(時計を1時間進めること)と終了時(時計を1時間遅らせること)が、生殖能力にどのような影響があるのかをDSTの開始や終了と体外受精の治療成績との関係を解析することで調べたものです。
結果は、胚移植後、3週間以内にDSTが開始、すなわち、時計の針を1時間進める日があると、流産のリスクが上昇したというものでした。
そのメカニズムは不明としながらも、体内時計への影響ではないかとしています。
規則正しい生活リズムや1日3食をバランスよく食べること、起床後に太陽光を浴びること、夜は暗くすること、夜にスマホやPCをみないことが、体内時計を整えるのに有効とされています。