ハーバード大学とスペインのムルシア大学の研究グループは、脂肪酸の摂取と精子をつくる働き(精子の質や生殖ホルモン、精巣の大きさ)の関係を調べるべく、2010年10月から2011年11月にムルシア大学の男子大学生(18〜23歳)を対象にした研究を実施しました。
209名の男性に食物摂取頻度調査票(過去1年間にどんな食品をどれくらいの頻度でどれくらいの量を食べたかを尋ねる質問票)に答えてもらい脂肪酸の摂取状況を調べ、血液検査で測定した生殖ホルモン(FSH、LH、総テストステロン、フリーテストステロン、インヒビンB)や精巣容積など、精子をつくる働きの指標となるデータとの関連性を解析しました。
その結果、一価不飽和脂肪酸の摂取量が多いほどフリーテストストロンや総テストステロン、インヒビンBが低く、多価不飽和脂肪酸、特に、オメガ6脂肪酸の摂取量が多いほどLHが高いことがわかりました。そして、トランス脂肪酸の摂取量が多いほど総テストステロンやフリーテストステロンが低いこともわかりました。
また、オメガ3脂肪酸の摂取量が多いほど精巣容積が大きく、反対にオメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取量が多いほど小さいことがわかりました。
これらのことから、オメガ3脂肪酸は精子をつくる働きにプラスに、反対にオメガ6脂肪酸やトランス脂肪弾はマイナスの影響を及ぼす可能性があることが精巣容積を介してわかりました。
コメント
アメリカのハーバード大学の公衆衛生大学院とスペインのムルシア大学の研究者らを中心とした研究チームは、2010年10月から2011年11月に。スペインのムルシア大学の男子大学生(18〜23歳)を対象に、環境や生活習慣が男性の生殖機能に及ぼす影響を調べることを目的に「ムルシアヤングメンズスタディ」を実施しましたが、今回の研究はその一環です。
食事パターンと精子をつくるの関連についての研究結果を2015年に発表していますが、今回は脂肪酸の摂取状況との関連を調べています。
オメガ3脂肪酸がよく、オメガ6脂肪酸やトランス脂肪酸はよくないという結果が精巣容積を介して得られたとのこと。
脂肪酸は全て食事から摂取するものですから、男性の食べ方は間接的に妊娠しやすさに影響するのかもしれません。