妊娠前後のマルチビタミンと出生児の注意欠陥・多動性リスク

生活習慣・食事・サプリメント

2017年04月12日

Nutritional Neuroscience

妊娠前後のマルチビタミンのサプリメントは出生児の多動性障害(HKD)の発症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)への投薬治療のリスクの低下させる可能性があることがデンマークで実施された出生前コホート研究で明らかになりました。

デンマークナショナルバースコホートに参加した妊婦とその出生児を対象に、妊娠初期の葉酸、もしくは、マルチビタミンのサプリメント摂取がHKDと診断されることやADHDへの治療のリスクの低減になるのかを検証されました。

約3万5千人の対象者の内、妊娠初期(最終月経の4週間前から8週後)に葉酸サプリメント利用者は7,126名、マルチビタミンは17,505名、そして、サプリメントを利用していなかったのが11,916名でした。そして、7年間のフォロー期間でHKDと診断された出生児は384名(1.1%)、ADHDのための投薬治療を受けたのは642名(1.8%)でした。

サプリメント利用との関連を解析した結果、妊娠初期のマルチビタミンサプリメント利用でHKDと診断されるリスクが30%、ADHDで医薬品を服用するリスクは21%、それぞれ、有意に低下しました。

一方、葉酸サプリメント摂取とHKDやADHDは有意な関連はみられませんでした。

これらの結果から、妊娠前後のマルチビタミンサプリメントの摂取によって、出生児のHKDの発症やADHDで医薬品を服用するリスクが低下する可能性が示唆されました。

コメント

ADHD(注意欠陥・多動性障害)とは、「忘れ物が多い」、「課題が間にあわない」、「うっかりミスが多い」などの「不注意」症状と、「じっとしていられない」、「落ち着かない」、「待つのが苦手」などの「多動性・衝動性」症状がみられる発達障害の一つと考えられています(日本精神神経学会のサイトから)。

遺伝的要因が原因と考えられているようですが、マルチビタミンミネラルの摂取が有効との研究報告があることから、今回、初めて妊娠初期の葉酸やマルチビタミンのサプリメント摂取と出生児のHKDやADHDとの関係が検証されました。

その結果、葉酸ではなく、マルチビタミンミネラルの摂取と出生児が7歳までにHKDと診断されたり、AHDHのために服薬するリスクの有意な低下が確認されました。

マルチビタミンのうちの特定のビタミンによるものなのか、あるいは、複合的なものなのかは不明としながらも、過去の研究報告からビタミンDがある役割を果たしている可能性があるとしています。

今後のさらなる検証が必要としながらも、妊娠初期のマルチビタミンサプリメンが胎児の脳神経系の形成に寄与している可能性があるとしています。