ハーバード大学のEARTH Study研究チームは、男性不妊患者の食事からのコエンザイムQ10の摂取量と精子の質の関連を調べました。
大学の関連病院であるマサチューセッツ総合病院で不妊治療を受けている211名の男性に食事摂取頻度調査票を用いて算出された過去1年間の食事からのCoQ10の摂取量と提供された476の精液サンプルの精液所見との関連を解析しました。
その結果、食事からのコエンザイムQ10の1日の平均摂取量は19.2mg(2.4-247.2mg)で、精液所見との関連はみられませんでした。
このことから、食事からのコエンザイムQ10の摂取量は精液所見に影響を及ぼすには量的に少な過ぎることが示唆されました。
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コエンザイムQ10は脂溶性のビタミン様物質で体内で合成されていますが、肉や魚、ナッツ、オリーブオイルなどに含まれることから食事からも摂取しています。
細胞のミトコンドリア内のエネルギー産生の最終段階で不可欠な役割を担い、強い抗酸化作用を有し、細胞膜を活性酸素のダメージから保護しています。
原因不明で精液所見が基準値を下回る男性不妊患者では、活性酸素過多のために精子の細胞が酸化ストレスの障害を受けていることが関与しているのではないかと考えらています。
そのため、これまで1日に200-300mgのコエンザイムQ10のサプリメントを3-6ヶ月摂取することで精液所見の改善することを確かめた研究報告がいくつもあります。
そこで、同じコエンザイムQ10でも、サプリメントではなく、食事からのコエンザイムQ10は精子の質に影響を及ぼすのかどうか調べられたというわけです。
その結果は関連しないというもので、それは食事からの摂取量が約20mgと改善が認められたサプリメントの量の10分の1程度だったことから、量的に少な過ぎるのではないかと結論づけています。
サプリメントは、そもそも、食事だけでは不足する栄養素の補充という役割を担っていますが、こと、男性不妊へのコエンザイムQ10については多量に摂取することでその機能性を期待するというもののようです。